産休・育休中のお金の動き、給付金と社会保険料免除の仕組みを整理する
産休・育休中のお金の仕組み、正直ちゃんと把握している人ってどれくらいいるんでしょうか。「なんかもらえるよね」ってことはわかっているけど、実際どこからいくら出るの?社会保険料はどうなるの?という疑問が山積みのまま産休に入っていく、という話を周りでよく耳にします。
保険の仕事をしているFPの方に以前お話を聞く機会があって、「産休・育休中のお金の仕組みは、お客様から一番質問が多い分野のひとつです」とおっしゃっていました。それだけ複雑で、かつ知っておかないと損をしてしまう情報が多いということなんですよね。
この記事では、産休・育休中のお金の動きを、出産手当金・育休給付金・社会保険料免除という3つの柱で整理していきます。どれも「知っているのと知らないのとでは大違い」な制度ばかりですよ。
「産休」と「育休」は別制度、まずここから整理する
産休・育休はセットで語られることが多いのですが、制度の根拠も、給付金の出どころも、まったく別物です。この前提を知っているだけで、仕組みへの理解がぐっと深まりますよ。
産休(産前・産後休業)は、労働基準法に基づく休業です。産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)と産後8週間が対象になります。産休中に支給されるお金は、会社から出るのではなく、健康保険から支給される「出産手当金」です。
育休(育児休業)は、育児・介護休業法に基づく制度で、産後休業が終わった翌日から子どもが原則1歳になるまで取得できます。育休中に支給されるのは雇用保険から出る「育児休業給付金」です。
健康保険から出るのか、雇用保険から出るのか。それだけで申請窓口も計算方法も変わってきます。この「お金の出どころが違う」という点が、産休・育休のお金の仕組みをわかりにくくしている一番大きな原因じゃないかと思います。「同じ制度の続き」ではなく「別々の制度が連続している」というイメージで捉えると、理解しやすくなりますよ。
産休中にもらえるお金:出産手当金の計算方法
産休中は、ほとんどの場合、会社からの給与支給が止まります。その代わりに、健康保険から「出産手当金」が支給される仕組みになっています。健康保険の被保険者、つまり会社員として勤務して健康保険に加入している人が対象です。
出産手当金の計算式は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1日あたりの支給額 | 標準報酬日額 × 3分の2(約67%) |
| 支給期間 | 産前42日(多胎は98日)+産後56日 |
| 支給元 | 加入している健康保険(協会けんぽ・組合健保など) |
標準報酬日額というのは、産休前の月収をもとに算出される金額のこと。ざっくり言うと「産前の月給の約67%が産休期間中に支給される」というイメージになります。
ひとつ注意点があります。出産手当金は申請から振り込みまでに時間がかかります。産休に入ってすぐに振り込みが来るわけではないため、産休前に生活費として一定額を手元に確保しておくことが大切です。育休中 収入のシミュレーションをするときにも、このタイムラグは必ず織り込んでおいてほしい部分です。
それから、出産手当金は非課税です。所得税もかかりませんし、社会保険料の対象にもなりません。「受け取った額がそのまま手取り」になるということです。これは育休給付金も同じなので、覚えておいて損はないですよ。
育休中にもらえるお金:育休給付金の仕組み
育休中のお金は「育児休業給付金」です。こちらは雇用保険から支給されるもので、会社を通じてハローワークに申請します。雇用保険に加入している人のうち、育休開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間がある人が対象です。
育休給付金は、育休期間の長さによって支給割合が変わります。
| 育休の期間 | 支給割合(育休前賃金に対して) |
|---|---|
| 育休開始から180日間(最初の約6ヶ月) | 67% |
| 181日目以降(子どもが1歳になるまで) | 50% |
最初の6ヶ月は67%、それ以降は50%。「思ったより少ない…」と感じる方もいるかもしれません。でも後で説明する社会保険料免除と組み合わせると、実際の手取りベースでの減少幅はそこまで大きくないケースも多いんです。
計算に使う「育休前賃金」は、育休開始前6ヶ月の給与をもとに算出されます。通勤手当や残業代も含まれますが、賞与は含まれません。ここは細かいところですが、育休中 収入を具体的にシミュレーションするときに影響してくる部分ですよ。
育休中に少し働いた場合はどうなる?
育休中に就業した場合、働いた日数や時間によって育休給付金が減額されることがあります。月の就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であれば全額支給が維持されますが、それを超えると減額計算が入ってきます。育休中に副業や短時間就労を検討している場合は、事前にハローワークや会社の担当者に確認しておくことを強くおすすめします。うっかりして給付金が減額されていた、というのは事前に防げる話ですから。
これが本当に大きい:社会保険料免除の仕組み
産休・育休中のお金の話で、もっとも見落とされやすいのが「社会保険料免除」の制度です。保険代理店で働く女性スタッフから聞いた話では、「社会保険料免除の制度を知らないまま家計計算をして、育休中の家計が厳しいと思い込んでいたお客様が結構いた」とのことでした。知っているかどうかで、家計シミュレーションの結果がまったく変わってしまうんですよね。
産休・育休期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。しかも本人負担分だけでなく、会社が負担する事業主負担分も免除になります。ここがポイントで、本人側の節約効果だけではなく、会社側のコストも一緒に浮く仕組みになっています。
| 休業の種類 | 免除される保険料 | 免除対象 |
|---|---|---|
| 産休中(産前・産後) | 健康保険料・厚生年金保険料 | 本人負担分+会社負担分 |
| 育休中 | 健康保険料・厚生年金保険料 | 本人負担分+会社負担分 |
たとえば月収30万円の方の場合、本人負担の社会保険料はざっと月3〜4万円程度になります。それが免除されるわけですから、育休給付金の支給割合が50〜67%であっても、実質的な手取りの減少幅はもっと小さくなるのです。産休 育休 お金の仕組みを考えるうえで、ここは絶対に外せない視点ですよ。
もうひとつ重要な点があります。社会保険料免除 産休・育休の期間中は、保険料を支払っていたものとみなして将来の年金が計算されます。つまり、免除されても年金額が減るわけではないということです。「免除」という言葉だけ聞くと不安になりがちなんですけど、ここは安心してほしい部分です。
社会保険料免除の申請、自動でされる?それとも手続きが必要?
社会保険料の免除は、自動的に適用されるものではありません。会社が年金事務所(または健康保険組合)に申請する必要があります。実務上は会社側が対応してくれるケースが多いですが、自分でも確認しておくことが大切です。産休に入るタイミングで「社会保険料免除の申請をお願いできますか?」と人事・総務の担当者に一声かけておくのがベストですよ。申請漏れがあると、後から遡及申請が必要になる場合もありますから。
産休・育休中のお金、全体像をまとめると
ここまでの内容を整理すると、産休・育休中に受け取れる給付と免除の全体像が見えてきます。
| 期間 | 受け取れる給付金 | 社会保険料 |
|---|---|---|
| 産休中(産前・産後) | 出産手当金(標準報酬日額の約67%) | 健康保険料・厚生年金保険料が免除 |
| 育休中(開始〜180日) | 育休給付金(育休前賃金の67%) | 健康保険料・厚生年金保険料が免除 |
| 育休中(181日〜1歳まで) | 育休給付金(育休前賃金の50%) | 健康保険料・厚生年金保険料が免除 |
給付金はいずれも非課税です。社会保険料も免除されます。この2点をセットで理解したうえで手取りを計算すると、「育休に入ったら収入がガクッと下がる」という漠然とした不安の輪郭が、かなりクリアになるはずです。
育休中 収入が産前より下がるのは事実ですが、実際の手取りの減少幅は、多くの方が最初に想定するよりずっと小さいことが多い。それだけ。この事実を知っているかどうかが、育休中の家計プランの精度にそのまま直結するんですよ。
産休・育休前に確認しておくべきこと
制度の知識を踏まえたうえで、産休・育休に入る前に押さえておきたいポイントがあります。
会社の就業規則を確認する 法律の最低保障に加え、会社独自の育休補填がある場合があります。給付金に上乗せする形で一定期間の給与保障をしている会社もあるため、人事担当者に確認しておくと安心です。
手元に生活費を確保しておく 出産手当金・育休給付金ともに、申請から振り込みまでにタイムラグがあります。育休開始直後の1〜2ヶ月は給付金が振り込まれない期間が生じることが多いため、生活費として2〜3ヶ月分の現金を手元に用意しておくと安心です。産休 育休 お金の計画を立てるうえで、このタイムラグを無視してしまうのが一番危険なパターンです。
育休延長の制度も頭に入れておく 保育所が見つからない等の事情がある場合、育休は1歳6ヶ月・2歳まで延長できます。延長期間も育休給付金の支給対象になりますが、延長申請の手続きが必要になります。担当者に早めに相談しておくことで、手続き漏れを防ぐことができますよ。
産休・育休のお金の仕組みを知ることは、自分を守る知識になる
産休・育休中のお金の仕組みをきちんと理解しておくことは、育休期間中の家計管理を安定させるだけではありません。将来のマネープランを考えるうえでも、共働き世帯の戦略を立てるうえでも、重要な基礎知識になります。
FP資格の勉強をしている方や、保険・金融の仕事に携わっている方にとっても、産休 育休 お金 仕組みは頻出テーマです。制度の概要をしっかりつかんでいれば、お客様への説明やアドバイスの場でも大きな力になるはずですよ。
現場の保険営業の方が話してくださったのは、「産休・育休前の面談で制度の仕組みをきちんと説明するだけで、お客様の不安が全然違う」ということでした。知識があることで、自分自身の不安も、周りの人の不安も、少しずつ和らげることができる。産休 育休のお金の仕組みを理解することには、それだけの意味があるんじゃないでしょうか。
制度の細かい数字は法改正によって変わることがあります。最新情報は厚生労働省のウェブサイトやハローワークで確認することをおすすめします。大枠の仕組みをしっかり掴んでおくこと。まずそれが大事ですよね。
