FP3級の試験対策で「相続・事業承継」の章を開いたとたん、テキストを閉じたくなった——という方は少なくないのではないでしょうか。

法定相続分、遺留分、代襲相続、基礎控除、贈与税。文字で読んでいても、頭の中でうまくつながらない。そういう声を、FP試験の勉強中の方からよく聞きます。

でも大丈夫です。相続・事業承継の知識は、「図」にした瞬間に急につながりだします。あるFP資格スクールのスタッフが話してくれたのですが、「相続分野が苦手な受講生ほど、テキストの文字だけを読んで暗記しようとしている。図に書き直させると、みんな急に理解できる」と言っていました。

今回はその「図で覚える」アプローチで、FP3級 相続 事業承継 図解を徹底解説します。法定相続分の計算パターン、基礎控除の計算式、贈与税の仕組み、事業承継の基礎まで、表を使って整理していきますよ。ぜひ手元にノートを用意しながら読んでみてください。

法定相続人を図で整理!誰が相続できるの?

まず「相続できる人は誰か」を正確に把握することが出発点です。法定相続人には順位があって、配偶者は常に相続人になります。それに加わる血族相続人には、以下の優先順位があるのです。

相続人の種類 順位 ポイント
配偶者 常に相続人 法律上の婚姻関係が必要。内縁の配偶者は不可
子(直系卑属) 第1順位 実子・養子・認知した非嫡出子も含む
父母・祖父母(直系尊属) 第2順位 第1順位がいない場合に相続権が発生
兄弟姉妹 第3順位 第1・第2順位がいない場合のみ

鉄則は「上位の順位がいれば、下位の人は相続できない」こと。子どもがいれば両親は相続できません。両親がいれば兄弟姉妹は相続できません。この「順位の壁」を図で意識しておくと、試験で混乱しなくなります。

もう一つ覚えておきたいのが「代襲相続」です。相続人になるはずだった子が被相続人より先に亡くなっていた場合、その子(孫)が代わりに相続する仕組みです。子の代襲相続は何代でも続きますが、兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の1代限り。この違いはよく出題されますよ。

法定相続分の3パターン、図解で完全マスター

法定相続人が確定したら、次はそれぞれの取り分=法定相続分の話です。ここが最も試験に出るところで、3つのパターンを図で押さえれば対応できます。

パターン1:配偶者+子

相続人 法定相続分
配偶者 1/2
子(全員合計) 1/2

子が複数いる場合は、1/2を均等に分けます。子が2人なら各1/4、3人なら各1/6です。養子も実子と同じ割合になります。

パターン2:配偶者+父母(直系尊属)

相続人 法定相続分
配偶者 2/3
父母(合計) 1/3

子がいないケースです。配偶者の取り分が1/2から2/3に上がるのがポイントですよね。父母が2人いれば1/3を半分ずつ(各1/6)分けます。

パターン3:配偶者+兄弟姉妹

相続人 法定相続分
配偶者 3/4
兄弟姉妹(合計) 1/4

子も父母もいないケースです。兄弟姉妹の中に「半血兄弟姉妹」(父か母のどちらか一方だけが同じ)がいる場合、その人の取り分は全血兄弟姉妹の半分になります。この半血の扱いは試験によく出ますので、要注意です!

3パターンを横並びにすると、配偶者の取り分が「1/2 → 2/3 → 3/4」と増えていくのがわかりますね。一緒に相続する血族の順位が下がるほど、配偶者の割合が大きくなる——このリズムで覚えると忘れにくいですよ。

相続の承認・放棄、3つの選択肢を図で整理

相続が発生したとき、相続人には財産の引き受け方として3つの選択肢があります。亡くなった方が多額の借金を抱えていた場合などは、「相続放棄」が現実的な選択肢になります。

選択肢 内容 注意点
単純承認 プラスの財産もマイナス(借金)も全部引き受ける 3ヶ月以内に何もしないと自動的に単純承認になる
相続放棄 相続権を完全に放棄する(プラスもマイナスも放棄) 家庭裁判所への申述が必要。相続開始を知った日から3ヶ月以内
限定承認 プラスの財産の範囲内でマイナスを引き受ける 相続人全員の合意が必要。家庭裁判所への申述が必要

相続放棄をした人は、最初から相続人でなかったものとして扱われます。ただし、相続税の基礎控除を計算するときは、相続放棄した人も法定相続人の数に含めてカウントします。ここは試験でよく引っかけに使われるポイントです!

遺留分って何?相続人に保障された最低ライン

遺言書があれば、原則として遺言の内容が優先されます。ただし、特定の相続人には「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されていて、遺言によっても侵害できない権利なのです。

状況 遺留分の割合(遺産全体に対して)
直系尊属のみが相続人の場合 遺産の1/3
それ以外(配偶者・子・直系尊属が相続人) 遺産の1/2

注意点として、兄弟姉妹には遺留分がありません。遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」をすることができます(以前は「遺留分減殺請求」という名称でした。法改正で名称が変わっています)。

具体的なイメージをつかむために例を出してみましょう。配偶者と子2人が相続人で、遺産が6,000万円あったとします。配偶者の法定相続分は1/2(3,000万円)、子2人は合わせて1/2(各1,500万円)。遺留分はそれぞれ「法定相続分の1/2」なので、配偶者の遺留分は1,500万円、子それぞれの遺留分は750万円になります。数字を図に書き出してみると、一気に整理されますよ。

相続税の基礎控除、計算式を図で整理

遺産の合計額が相続税の基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。FP3級 相続 事業承継 図解の中でも、この計算式は試験最頻出の一つです。まず計算式を丸ごと覚えてしまいましょう。

相続税の基礎控除額の計算式
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

具体的な数字で見てみましょう。

法定相続人の数 計算式 基礎控除額
1人 3,000万円 + 600万円 × 1 3,600万円
2人 3,000万円 + 600万円 × 2 4,200万円
3人 3,000万円 + 600万円 × 3 4,800万円
4人 3,000万円 + 600万円 × 4 5,400万円

ここで重要なポイントが2つあります。まず、相続放棄をした人も法定相続人の数に含めてカウントすること。次に、養子は「実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで」法定相続人に含められること。この養子のカウントルールは試験で頻繁に問われますよ!

遺産総額が基礎控除額以下なら、申告自体が不要になります。2015年の税制改正で基礎控除が引き下げられてから(改正前は5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数でした)、以前より多くの方が相続税の対象になっています。「相続税は金持ちの話」という感覚のままだと、試験でもつまずきやすいので、今の計算式をしっかり頭に入れておきましょう。

贈与税の基礎控除と暦年課税の仕組み

相続税の対策として「生前贈与」がよく使われます。贈与税にも基礎控除があって、年間110万円まで非課税で贈与できます。この110万円という数字は絶対に覚えておいてほしい数字です。

贈与税の課税方式は2種類あります。

課税方式 概要 非課税枠
暦年課税 1月1日〜12月31日の1年間にもらった贈与の合計額に課税。受贈者が申告・納税。 年間110万円
相続時精算課税 60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用可能。相続発生時に精算する。 年間110万円 + 累計2,500万円(超過分は一律20%課税)

暦年課税の場合、年間の贈与額から110万円の基礎控除を引いた金額に贈与税がかかります。贈与を受けた人(受贈者)が翌年の3月15日までに申告・納税する仕組みです。

相続時精算課税は2023年の改正で毎年110万円の基礎控除が新設されました。ただし、相続が発生したとき、過去に相続時精算課税で贈与した財産(基礎控除を超えた部分)を相続財産に加算して相続税を計算し直します。「精算」という名の通り、あとで帳尻を合わせる制度なのです。

ここで一つ、大事な確認を。贈与税の基礎控除(110万円)と、相続税の基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 人数)は、まったく別物です。混同しやすいので、図を並べて別々に覚えることをおすすめしますよ。

遺産分割の3種類、図で整理

相続が開始されると、誰がどの財産を取得するかを決める「遺産分割」を行います。分割には主に3種類の方法があります。

分割方法 内容 活用シーン
現物分割 財産をそのままの形で相続人に割り当てる 不動産はA、預貯金はBというように分けるとき
換価分割 財産を売却して現金化し、各相続人に分配する 不動産を売って現金を相続人で分けたいとき
代償分割 特定の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金を支払う 長男が自宅を引き継ぎ、現金を兄弟に支払うとき

実際のケースで最もよく使われるのが代償分割です。「実家は守りたい、でも公平に分けたい」という状況で活用されます。「代償分割」という名前と仕組みをセットで覚えておきましょう。遺産分割の話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合は、家庭裁判所の「調停」→「審判」という流れになります。この流れもFP3級では問われることがありますよ。

事業承継の基礎、FP3級で出るポイントを図解

「事業承継」とは、会社や個人事業を次の世代に引き継ぐことです。FP3級 相続 事業承継 図解の中でも、特に中小企業オーナーに関わるテーマとして出題されます。

事業承継の3つの方法

承継方法 内容 特徴
親族内承継 子や配偶者など親族に事業・株式を引き継ぐ 最も一般的。後継者育成に時間がかかることも
役員・従業員承継(MBO) 社内の役員や従業員が引き継ぐ 会社の内情を知っている人が承継できる
M&A(第三者承継) 社外の第三者に会社を売却・譲渡する 後継者不在でも会社を存続させられる

自社株の評価と承継税制

中小企業の事業承継で特に重要なのが、「非上場株式(自社株)の評価」です。上場企業の株は市場価格がありますが、非上場企業の株には取引相場がないため、国税庁のルールに基づいて評価します。

評価方式 使うケース 計算の基礎
類似業種比準方式 大会社・中会社(規模が大きい会社) 類似する上場企業の株価を参考に算定
純資産価額方式 小会社(規模が小さい会社) 会社の正味財産(純資産)をベースに算定

会社の規模によって使う評価方式が変わります。大会社ほど類似業種比準方式の比重が高まり、小会社ほど純資産価額方式が使われます。評価額が高いほど相続税・贈与税の負担も重くなるため、どのタイミングで引き継ぐかが重要になります。

事業承継に詳しい税理士の方が話していたのですが、「自社株の評価額は会社の業績によって大きく動く。評価が下がっているタイミングで承継すると、税負担を抑えられることがある」とのことでした。計画的に進めることが大切なのです。

また、事業承継の税負担を軽減する制度として「事業承継税制」があります。一定の要件を満たすと、自社株の承継にかかる贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です。FP3級では制度の詳細な計算より、「こういう制度がある」「どういう場面で使われるか」という概要レベルの理解が問われます。難しく考えすぎず、まず全体像をつかんでおきましょう。

FP3級 相続・事業承継、頻出問題のパターンを確認しよう!

ここからは、FP3級 相続 事業承継 図解を使って対策したい、よく出る問題のパターンをご紹介します。試験問題の転載はできませんので、出題パターンのイメージをつかむためのオリジナル例題です。

例題1:法定相続分の計算

被相続人Aさんが亡くなった。法定相続人は配偶者Bさん、長男Cさん、次男Dさんの3人。遺産総額は6,000万円。次男Dさんの法定相続分はいくらか。

答えを確認しましょう。配偶者Bさんが1/2で3,000万円。子ども2人で残り1/2(3,000万円)を均等に分けるので、次男Dさんは1,500万円です。

例題2:相続税の基礎控除額の計算

法定相続人が配偶者と子ども3人の合計4人の場合、相続税の基礎控除額はいくらか。また、相続放棄した人がいる場合、人数のカウントはどうなるか。

基礎控除額は3,000万円 + 600万円 × 4人 = 5,400万円。相続放棄した人も法定相続人の数に含めてカウントするので、放棄した人がいても人数の数え方は変わりません。

例題3:贈与税の計算

暦年課税を選択しているCさんが、1年間に父親から300万円の贈与を受けた。贈与税の課税対象になる金額はいくらか。

年間の基礎控除は110万円。300万円 − 110万円 = 190万円が課税対象になります。この190万円に贈与税率を掛けて税額を計算します。

この3パターンが確実に解けるようになれば、FP3級の相続分野の基礎はしっかり固まっています。計算式を図で引き出せるようにしておくのが、得点を安定させるコツです。

まとめ:相続・事業承継は「図」で一気につながる

FP3級の相続・事業承継、難しそうに見えてパターンは決まっています。法定相続人の順位、法定相続分の3ケース、遺留分の割合、相続税の基礎控除計算式、贈与税の仕組み、事業承継の方法。これをFP3級 相続 事業承継 図解で整理すると、複雑に見えた問題がスッキリしてきます。

「相続は苦手だな」と感じていた方ほど、図で覚えるアプローチに切り替えると得点が伸びやすいです。今回ご紹介した表や計算パターンを参考に、自分のノートに手書きの図解を作ってみてください。書くことで記憶に定着しますし、試験本番でも迷わず数字が引き出せるようになりますよ。

相続・事業承継の知識は、試験勉強だけでなく実生活でも必ず役に立ちます。大切な人を亡くしたとき、あるいは自分の家族に何かを残すとき、今日覚えた知識がきっと支えになりますから。

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