実技の保険問題は「解き方の型」を覚えれば落ち着いて解けます

FP3級の実技試験で、多くの人がつまずきやすいのが保険の計算問題です。学科のように知識を問われるだけなら何とかなったのに、実技になると「あれ、この数字をどう使えばいいんだっけ」と手が止まってしまう。試験直前になって、そんな焦りを感じている人は本当に多いんですよね。

でも、安心してください。実技の保険問題は、ひらめきで解くものではありません。問われ方がだいたい決まっていて、解き方にも「型」があるんです。証券の読み方、足し算する保険金の選び方、税金の判定の手順。この型さえ体にしみこませておけば、本番で初めて見る問題でも、落ち着いて同じ手順をなぞるだけで答えにたどり着けます。

この記事では、実技でよく問われる保険の計算を4つのテーマに分けて、ひとつずつ解き方をお話ししていきます。死亡保険金はいくら出るのか、入院でいくら受け取れるのか、受け取ったお金にかかる税金はどうなるのか、そして年末調整でおなじみの生命保険料控除。どれも、例題を見ながら手順を一緒になぞっていきましょう。例題はすべて、本番の問題そのものではなく、解き方を練習するためにオリジナルで作ったものですよ。読み終わるころには、「保険の計算って、こうやって解けばいいんだ」と、手の動かし方がはっきり見えているはずです。

テーマ1:死亡保険金、いくら出るのかを足し算で出す

実技でいちばんよく出るのが、「この人が亡くなったら、保険金は合計いくら支払われますか」というタイプの問題です。保険証券の見本がドンと載っていて、そこから必要な数字だけを拾って足し算する。これが基本の流れになります。

ポイントは、ひとつの保険証券の中に複数の保障が組み込まれているということ。主契約の死亡保障に、特約という形でいくつもの保障が上乗せされているんですね。だから「亡くなったときに出るもの」だけを正しく選び出して足す。ここが勝負の分かれ目です。

例題:死亡保険金の合計を求める

たとえば、こんな証券があったとします。終身保険の主契約が300万円、定期保険特約が1,500万円、特定疾病保障特約が200万円、入院特約が日額1万円。この契約者が、交通事故で亡くなったとき、遺族が受け取る死亡保険金の合計はいくらでしょうか。

解き方は3ステップです。まず、証券に並んでいる保障を「死亡したときに出るもの」と「生きているうちに出るもの」に仕分けします。終身保険、定期保険特約、特定疾病保障特約。この3つは死亡時に支払われる保障です。一方、入院特約は入院したときに出るもので、死亡保険金には含まれません。ここで入院特約を巻き込まないことが、最初の関門ですよ。

次に、死亡時に出る保障の金額を書き出します。300万円、1,500万円、200万円。最後に、これを足すだけです。300+1,500+200で、合計2,000万円。これが答えになります。

特定疾病保障特約というのは、がんなどの特定の病気になったときにも受け取れる保障ですが、その保険金を受け取らないまま亡くなった場合は、死亡保険金として支払われる仕組みになっています。だから今回は死亡保険金に足し込む、というわけです。この「生前に受け取っていなければ死亡時に出る」という性質は、ひっかけで問われやすいので覚えておきましょう。

もうひとつ、解くときに気をつけたいのが「亡くなった原因」です。同じ証券でも、病気で亡くなった場合と、不慮の事故で亡くなった場合とで、出る保険金が変わることがあります。災害割増特約や傷害特約がついていると、事故が原因のときだけ上乗せの保険金が出るからです。問題文に「交通事故で」「不慮の事故で」と書いてあったら、事故のときだけ出る特約も足し算の対象に入れる。逆に「病気で」とあれば、それらは足さない。原因をひと言で見落とすと、まるごと取りこぼしてしまうので、ここも証券を仕分けるときにセットで確認しておきましょう。

テーマ2:入院給付金は「日数×日額」が基本の形

次は、病気やケガで入院したときに受け取れる入院給付金の計算です。ここはとてもシンプルで、基本の形は入院日額×入院日数。この掛け算がベースになります。ただし、手術を受けた場合は手術給付金が上乗せされたり、入院日数に数え方のルールがあったりするので、そこを丁寧に拾っていくのがコツです。

例題:入院と手術の給付金を合算する

入院特約が日額5,000円、手術給付金は入院給付金日額の20倍という契約だったとします。この人が病気で10日間入院し、その間に対象となる手術を1回受けました。受け取れる給付金の合計はいくらになるでしょうか。

まず入院給付金から計算します。日額5,000円で10日間の入院ですから、5,000円×10日で5万円。これが入院に対して出る分です。

続いて手術給付金です。日額の20倍と決められているので、5,000円×20で10万円。手術は1回なので、そのまま10万円ですね。

最後に、ふたつを合算します。入院の5万円と手術の10万円を足して、合計15万円。これが受け取れる給付金です。

このタイプでつまずきやすいのは、手術給付金の倍率を入院日数と混同してしまうケースです。倍率は「日額の何倍か」を表していて、入院日数とは関係ありません。問題文に「日額の20倍」とあったら、迷わず日額に20を掛ける。日数の10とは別物だと、はっきり線を引いておきましょう。落ち着いて読めば取りこぼさない問題ですよ。

テーマ3:受け取った保険金の税金は「誰が誰に」で決まる

3つ目は、保険金を受け取ったときの税金です。ここは計算そのものより、どの税金がかかるのかを正しく判定するところが山場になります。同じ死亡保険金でも、契約の組み方によって相続税になったり、所得税になったり、贈与税になったり。種類が変わってしまうんです。

判定のカギは3つの登場人物です。保険料を払う「契約者」、保障の対象になる「被保険者」、お金を受け取る「受取人」。この3人がそれぞれ誰なのかを並べると、かかる税金の種類が見えてきます。表で整理してみましょう。

契約者(保険料を払う人) 被保険者(対象の人) 受取人(受け取る人) かかる税金
相続税
所得税(一時所得)
贈与税

見るポイントは、契約者と受取人が同じ人かどうか、です。契約者と受取人が同じなら、自分で払って自分で受け取る形なので所得税。契約者と被保険者が同じで受取人が別人なら、亡くなった人の財産を引き継ぐ形になるので相続税。3人ともバラバラなら、別の人からお金をもらう形になるので贈与税。この3パターンを押さえれば、たいていの問題に対応できます。

例題:どの税金がかかるかを判定する

では練習です。夫が契約者として保険料を払い、被保険者も夫、そして妻が死亡保険金の受取人になっている契約で、夫が亡くなりました。この死亡保険金には、どの税金がかかるでしょうか。

手順どおりに当てはめます。契約者は夫、被保険者も夫、受取人は妻。契約者と被保険者が同じで、受取人だけが別の人ですね。これは「亡くなった人が用意していたお金を遺族が引き継ぐ」パターンなので、答えは相続税です。表の一番上の行と同じ形になっています。

ちなみに、相続税がかかる死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」までは税金がかからない非課税のしくみがありますが、実技でそこまで踏み込んで問われる場合は、この非課税枠の計算もセットで出ることがあります。まずは「誰が誰に」で税金の種類を判定する。この第一歩を確実にできるようにしておくのが先決ですよ。なお、ここで触れた税金の扱いは制度の一般的な考え方であって、実際の申告や個別のケースについては、税理士などの専門家に確認するのが安心です。

テーマ4:生命保険料控除は「3つに分けて」考える

最後は、年末調整や確定申告で出てくる生命保険料控除です。払った保険料に応じて、税金の計算のもとになる金額を減らしてくれる、うれしいしくみですね。実技では「いくら控除されますか」と金額を問われることもあれば、「どの区分に当てはまりますか」と分類を問われることもあります。

解くうえで最初に押さえたいのが、控除には3つの種類があるということです。一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料。この3つに分かれていて、それぞれ別々に控除額を計算します。だから問題を解くときは、まず「この保険はどの区分か」を見分けるところからスタートします。

例題:控除の区分を見分ける

たとえば、終身保険、医療保険、個人年金保険の3つに加入している人がいたとします。それぞれがどの控除区分に入るかを見分けてみましょう。

終身保険は、死亡に備える一般的な保険なので「一般の生命保険料控除」。医療保険は、入院や通院に備える保険なので「介護医療保険料控除」。個人年金保険は、老後の年金を準備する保険で、一定の条件を満たせば「個人年金保険料控除」に分類されます。このように、保険の目的ごとに区分が決まっているんですね。

ここでのつまずきポイントは、3つの区分があるのを忘れて、ぜんぶまとめて1つの控除として計算しようとしてしまうことです。区分が分かれているということは、それぞれに控除の上限額が設定されていて、別々に計算した結果を最後に合計する、という流れになります。「分けて計算して、あとで足す」。この順番を間違えなければ大丈夫ですよ。

新しい契約か古い契約かにも注目

もうひとつ、生命保険料控除には知っておきたい区別があります。それは、契約した時期によって計算のルールが変わるということ。ある時期を境に、それより前に契約したものは旧制度、後に契約したものは新制度として扱われ、控除額の上限や計算式が違ってきます。

実技では問題文に「○○年に契約」といった条件が書かれていることが多いので、まずその年を確認して、新制度・旧制度のどちらで計算するのかを決める。ここを最初にはっきりさせておくと、あとの計算で迷わなくなります。問題文の中に、解くためのヒントは必ず書かれているんです。見落とさないように、契約年月日のところには印をつけておくくらいの気持ちでいきましょう。

解く前の「読み取り」で差がつきます

ここまで4つのテーマを見てきましたが、どの問題にも共通して効くコツがひとつあります。それは、計算を始める前に、証券や問題文をていねいに読み取ること。実技の保険問題は、計算そのものは足し算や掛け算でシンプルです。むずかしいのは、たくさんある情報の中から「今この問題で使う数字はどれか」を選び出すところなんですね。

ある保険の事務をしている知人が話していたのは、現場で証券を確認するときも、まず保障の種類を仕分けてから金額を見る、という順番が身につくと、ミスがぐっと減るということでした。試験でも同じで、いきなり数字に飛びつかず、「これは死亡時に出るもの?入院で出るもの?」「税金は誰が誰に渡す形?」と、性質を見分けてから手を動かす。この一手間が、本番でのケアレスミスを防いでくれます。

もし時間に余裕があれば、解いたあとに「この答え、現実の金額として自然かな」と見直すクセもつけておくといいですよ。入院10日で何百万円も出ていたら、どこかで桁を間違えている合図です。計算の正しさを、感覚でも一度チェックする。これだけでうっかりミスをかなり減らせます。

まとめ:4つの型を手の動きで覚えておこう

FP3級実技の保険問題は、解き方の型さえ覚えてしまえば、本番でも落ち着いて対応できます。最後に、今日お話しした4つのテーマを振り返っておきましょう。

ひとつ目、死亡保険金は、証券の中から「死亡時に出る保障」だけを仕分けて足し算する。入院特約のような生前に出る保障を巻き込まないのがコツでした。

ふたつ目、入院給付金は、入院日額×入院日数が基本の形。手術給付金は日額の倍率で計算して、最後に合算する。倍率と日数を混同しないことが大切でしたね。

みっつ目、保険金の税金は、契約者・被保険者・受取人の3人が誰なのかを並べて、相続税・所得税・贈与税のどれになるかを判定する。「契約者と受取人が同じか」がカギでした。

よっつ目、生命保険料控除は、一般・介護医療・個人年金の3区分に分けてから別々に計算して、最後に合計する。新制度か旧制度かは契約年で見分ける。この流れを守れば迷いません。

どのテーマも、ひらめきではなく「決まった手順をなぞるだけ」で答えにたどり着けます。試験当日は、いきなり計算に飛び込まず、まず情報を仕分ける。その一拍を置くだけで、ぐっと正答率が上がりますよ。試験直前のあなたが、自信を持って保険問題に向かえますように。応援しています!

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