生保と損保の一般課程、どっちが難しい
「一般課程、取ってきてね。」保険の仕事に就いた初日から、こう言われることは珍しくありません。
でも待ってください。生命保険にも損害保険にも、それぞれ「一般課程」という試験がある。ということは、「生保と損保の一般課程、どっちが難しいんだろう?」「どっちを先に受ければいい?」という疑問が出てくるのは当然のことです。
この記事では、生保と損保の一般課程はどっちが難しいのかを中心に、試験の構成・合格ライン・勉強時間の目安・受験の順番まで丁寧に比較していきます。保険業界で実際に働いている方たちから聞いたリアルな声も交えながら解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
一般課程ってそもそも何?生保と損保で別物です
最初に確認しておきたいのですが、「一般課程」は生保と損保でそれぞれ別々に存在しています。ひとつ取れば両方カバーできる、というものではありません。
生保の一般課程(正式名称:生命保険一般課程試験)は、生命保険協会が実施する資格試験です。生命保険の募集・販売を行うために必須の基礎資格で、この試験に合格しなければ生命保険を扱うことができません。
損保の一般課程は「損害保険募集人一般試験」という名称で、損害保険協会が認定する団体が実施しています。火災保険・自動車保険・傷害保険などの損害保険を販売するための基礎資格です。
つまり、保険代理店やFP事務所で生保も損保も扱いたい場合は、両方の一般課程を取得する必要があります。「え、二種類もあるの……」と思う気持ちはよくわかりますが、業界に入るなら避けては通れない道なのです。
生保の一般課程はどんな試験?
生命保険の一般課程試験の基本スペックを見ていきましょう。
問題数は全40問。正誤問題が30問・択一問題が10問という構成で、試験時間は40分です。100点満点中60点以上で合格となります。
「60点合格か、ゆとりあるじゃない?」と思った方もいるかもしれませんね。確かに4割間違えても受かる設定ではあります。ただ、この数字を見て油断すると落ち込むことになります。
ある保険代理店で働く女性スタッフから聞いた話では、「職場の同期に、テキストをさらっと読んで受けたら普通に落ちた人が何人もいた」とのこと。「60点でいいなら余裕でしょ」という気持ちで準備が甘いまま受けると、意外な部分で点を落とします。60点という合格ラインの低さは「安全マージン」ではなく、「知識のムラ」が露呈する設定でもあるんです。
試験は年4回実施されています。受験料については所属する保険会社や代理店が負担するケースが多いですが、会社によって異なるので事前に確認が必要です。再受験に制限はなく、不合格でも次の回に受け直すことができます。ただ次の試験まで間が空くので、できれば一発合格を狙いたいところです。
生保一般課程で問われる内容
出題範囲は大きく三つのエリアに分かれています。
ひとつ目は生命保険の仕組みと種類についてです。定期保険・終身保険・養老保険・学資保険・医療保険などの特徴と違い、保険金が支払われる条件と支払われない条件など、生保の基本的な知識が問われます。
ふたつ目は保険料・保険金に関するルールです。保険料の算出の基礎的な考え方、解約返戻金の仕組み、受取人の指定に関するルールなどが含まれます。
三つ目が法律・コンプライアンス関連です。保険業法、個人情報保護法、告知義務・告知義務違反のルール、契約の失効・解除に関する知識など、実際の募集活動に直結するコンプライアンス系の問題が出てきます。
全体として計算問題は少なめです。「この説明は正しいか?」「この場合、保険金は支払われるか?」という知識確認型の問題が中心になっています。暗記が得意な方には比較的取り組みやすい試験と言えるかもしれません。
損保の一般課程はどんな試験?
続いて、損害保険の一般課程を見ていきましょう。生保との大きな違いは、試験が「基礎単位」と「商品単位」の二層構造になっていることです。
基礎単位は損害保険全般の基礎知識を問う試験です。問題数50問・試験時間60分・合格ラインは70点以上。生保の一般課程と比較すると、問題数は10問多く、合格ラインも10点高い設定になっています。
商品単位は、取り扱いたい保険商品ごとに個別の試験があります。主な商品単位は自動車保険・火災保険・傷害・医療保険・賠償・新種保険の4種類です。どの商品単位が必要かは、勤務先や担当業務によって変わってきます。
損保一般課程が「大変」と言われる理由
損保の試験が生保より大変と感じる人が多い理由は、主に二つあります。
一つ目は、試験の総数が多いことです。基礎単位に加えて商品単位を複数取得する必要があるため、「資格を全部揃えるまで」に時間と受験機会が必要になります。保険代理店で複数のスタッフを指導してきた方が話していたのは、「一つひとつの試験はそこまで難しくないんだけど、商品単位を全部揃えるまでがとにかく長い」ということでした。一発合格を重ねても、受験スケジュールを管理しながら複数の単位を取得していくのは、それなりの計画性と根気が必要なんです。
二つ目は、応用問題・計算問題の存在です。損保の試験には、具体的なシナリオに基づいた問題が含まれています。「この状況で、この種類の損害が発生した場合、支払われる保険金はいくらか?」というタイプの問題は、単純な丸暗記では解けません。特に自動車保険の計算問題は、苦手意識を持つ人が多い分野です。
現場の保険営業担当者から聞いた言葉で印象的だったのは、「損保は試験の数が多いのがしんどかった」というものです。難しいというより、「終わりが見えにくい」感覚があるのかもしれません。
生保と損保の一般課程、どっちが難しいのか徹底比較
いよいよ本題です。生保と損保の一般課程、どっちが難しいのかを表でまとめてみました。
| 比較項目 | 生保一般課程 | 損保一般課程(基礎単位) |
|---|---|---|
| 問題数 | 40問 | 50問 |
| 試験時間 | 40分 | 60分 |
| 合格ライン | 60点以上 | 70点以上 |
| 試験の種類 | 1種類 | 基礎単位+商品単位(複数) |
| 出題の傾向 | 知識確認・正誤判断中心 | シナリオ型・計算問題あり |
| 勉強時間の目安(初学者) | 10〜20時間程度 | 30〜40時間以上(商品単位含む) |
数字だけ見ると、損保の方が合格ラインが高く(70点 vs 60点)、試験の種類も多いため、客観的な難易度設定では損保に軍配が上がります。
ただし、「生保が簡単で損保が難しい」と単純には言えません。難しさの性質が違うからです。
生保一般課程は、合格ラインこそ低めですが、保険法や告知義務のルールなど、細かい法律知識の理解が問われます。「なんとなく読んだ」程度では意外なところで点を落とす試験です。「60点でいいんだから余裕」と思ってノー勉で受けに行った人が普通に落ちる、というのはよくある話なのです。
損保一般課程は、基礎単位の合格ラインが高く、商品単位を複数揃える必要があることから、勉強の総量も試験の回数も生保より多くなる傾向があります。シナリオ型の問題や計算問題があるため、単純な暗記だけでは対応しきれない部分もあります。
生保と損保の一般課程でどっちが難しいかを業界の人に聞いてみると、「トータルでは損保の方が負担が大きかった」という声が多数派です。ただし「計算問題が得意な人には損保の方がむしろ楽」という意見もあって、個人差は大きいようです。
難しさの種類をひとことで言うなら、「生保は細かい法律知識と保険ルールの暗記」、「損保は試験の総数と応用問題の多さ」。それぞれの難しさの核心がここにあります。
合格率と勉強時間の目安
生保・損保ともに、一般課程試験の合格率は公式データとして広く公開されているわけではありませんが、業界内では「しっかり準備すれば受かる試験」として認識されています。難関資格というわけではなく、「準備をしたか、しなかったか」で合否が分かれやすいタイプです。
勉強時間の目安について、保険会社の研修担当者や現場スタッフの声を参考にすると、次のようなイメージになります。
生保一般課程については、まったくの初学者で10〜20時間程度が目安とされています。損保の基礎単位も同じくらいですが、商品単位を1つ取得するごとに5〜10時間程度の追加学習が必要です。自動車保険・火災保険・傷害保険の3単位を揃えようとすると、損保だけで合計30〜40時間以上になることもあります。
もちろん、もともと保険や金融の知識がある方はもっと短時間で済みますし、まったくの初心者の方は少し多めに時間を確保した方が安心です。「1週間あれば余裕」という人もいれば、「2週間かけてようやく自信がついた」という人もいます。自分のペースに合わせて、焦らず準備するのが結局いちばんの近道です。
最短で合格するための勉強法
生保も損保も、試験の出題範囲は公式テキストからです。まずは公式テキストをしっかり読むことが基本中の基本です。
保険代理店でスタッフの教育を長年担当してきた方が語っていたのは、「テキストを2〜3周読んで、模擬問題を繰り返し解くというシンプルな方法で合格していく人がほとんど」ということ。特別な参考書を揃える必要はなく、公式テキスト+模擬問題の繰り返しが最も確実な方法です。
ひとつだけ注意が必要なのが、損保の自動車保険単位に含まれる計算問題です。「テキストを読んでわかった気になって、いざ問題を解いたら手が止まった」という経験をする人が多いので、計算問題だけは実際に手を動かして演習しておくことをおすすめします。文章で読む理解と、数字を当てはめて解く理解は別物ですから。
なお、不合格になった場合も再受験は可能です。ただ次の受験機会まで間が空くため、一発合格できるだけの準備をしてから臨む方が、スケジュール的にも精神的にも楽です。
どっちから先に受けるべき?受験の順番について
「生保と損保の一般課程、どっちが難しいか」とあわせてよく聞かれるのが、「どちらを先に受ければいい?」という順番の問題ですよね。
これは基本的に、勤務先の方針に従うことになる場合がほとんどです。生保専門の代理店なら生保一般課程が最優先ですし、損保中心の会社なら損保の基礎単位+商品単位からスタートすることになります。
ただ、自分で順番を選べる方には、生保一般課程から始めることをおすすめする声が多いです。理由は「試験の構造がシンプルで、最初の受験体験として向いているから」です。損保は商品単位という追加試験があるぶん、初めての試験としてはやや複雑に映りがちなのです。
最初の試験で合格できると、モチベーションが上がって次の勉強に自然と繋がります。逆に最初の試験で失敗すると、次の受験まで間が空いて気持ちが萎えやすい。だから「まず生保で合格体験を積んでから損保へ」という流れは、精神的にも理にかなっています。
保険代理店に新入社員として入ってきた人たちを長年見てきた方の話では、「生保から始めた人の方が、その後の損保取得もスムーズに進む傾向がある」とのことでした。最初の一勝が、その後の勉強の勢いを作るということです。
生保と損保、両方の一般課程を持つことのメリット
生保と損保の一般課程はどっちが難しいかを比較するうちに、「どちらかだけ取ればいいんじゃないか」という気持ちが出てくることもありますよね。でも実際の保険業界では、両方の資格を持っていることが大きな強みになります。
お客様の立場から考えてみてください。火災保険・自動車保険の相談も、生命保険・医療保険の相談も、同じ担当者に一括してお願いできたらどれだけ便利か。「この人に任せれば保険のことは全部相談できる」という信頼感は、代理店やFPとしての大きな差別化につながります。
また、FP(ファイナンシャルプランナー)資格の取得を視野に入れている方にとっても、生保と損保の一般課程はいい基礎固めになります。FP3級・2級では保険分野が試験範囲に含まれていますが、一般課程を先に取得しておくことで保険知識に強い土台ができ、FP試験の保険分野がスムーズに勉強できます。
「生保か損保かどっちかでいい」と思っているより、少し長い目で両方揃えてしまう方が、キャリアの選択肢がぐっと広がります。難しさを比べるよりも「どちらも取るための順番と計画」を考える方が、結果的に近道です。
まとめ:生保と損保の一般課程はどっちが難しいか?
あらためて整理しましょう。
生保と損保の一般課程でどっちが難しいかという問いに対する答えは、「スペック上は損保の方がやや厳しい設定だが、どちらもしっかり準備すれば合格できる試験」というのが正直なところです。
生保一般課程は問題数40問・合格ライン60点・試験1種類とシンプルな構成ですが、保険の法律知識や細かいルールの理解が問われ、油断できない試験です。損保一般課程は合格ライン70点・商品単位の複数取得が必要で、勉強の総量と試験の回数が生保より多くなる傾向があります。
難しさの性質が違うので単純比較は難しいですが、トータルの負担感では損保の方がやや大きいというのが、多くの現場スタッフに共通した感覚のようです。ただし得意・不得意の分野によって体感はかなり変わりますので、「自分はどちらのタイプか」を考えながら対策を立てるといいでしょう。
受験の順番に迷ったら、まず生保からスタートするのがおすすめです。そして最終的には生保・損保の両方を取得することを視野に入れて計画を立てると、保険業界でのキャリアの幅がぐっと広がります。
どちらの試験も、きちんと準備すれば手が届く資格です。「難しそう……」と腰が引けているより、さっさとテキストを開いてしまった方が気持ちが楽になりますよ。まず一歩、踏み出してみましょう!
